機能性表示食品メモ

気になる!機能性表示食品

機能性表示食品検証事業の意味

消費者の健康志向を受けて健康関連食品関連の市場は成長を持続しています。健康関連食品を構成するのは、いわゆる健康食品と保険機能食品です。この保険機能食品の中に特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品があります。

中でも機能性表示食品は近年増加傾向にあって、これまで保険機能食品を牽引してきた特定保健用食品を超えようとする勢いです。この機能性表示食品の検証事業とは何のためにあるのでしょうか。

l-92乳酸菌は機能性表示食品なのか


保健機能食品と機能性表示食品

機能性表示食品は保健機能食品のひとつです。保健機能食品には従来、国が有効性や安全性を個別に審査し許可した特定保健用食品と国が定める特定の栄養成分の規格基準に適合した成分を含んだ栄養機能食品がありました。

この内の特定保健用食品がいわゆるトクホです。トクホは国が審査・許可するので開発から販売までにどうしても時間がかかってしまいます。そこで設けられたのが機能性表示食品です。国が審査・許可したトクホに対して、機能性表示食品は事業者の責任で安全性と機能性を申請することによって科学的根拠に基づく機能性を表示します。

機能があることを保障する情報を公開して透明性を持たせることによってトクホと同様の表示を事業者の責任によって表示できるようになりました。その一方で事業者の責任で表示されている機能性は確かなものなのかと疑問を持つ人もいるでしょう。

機能性表示食品とは

機能性表示食品は販売を開始する前に消費者庁長官に対して科学的根拠に基づく安全性と機能性の根拠に関する情報を届け出た上で、その機能性を表示した食品です。その責任は事業者にあります。病気にかかっていない人を対象とした食品で、生鮮食品も含んで全ての食品が対象です。

機能性表示食品は安全性と機能性についてに国の定めたルールで評価します。そして、その他の生産・製造・品質の管理体制や健康被害の情報収集体制を整えて販売日の60日前までに消費者庁長官に届け出なければなりません。

届け出た内容は消費者庁のウェブサイトに公開されていて、消費者がいつでも確認することができます。

消費者のために作られた販売60日前までに届け出される機能性表示食品

トクホと機能性表示食品の違い

保健機能食品のうちトクホ、機能性表示食品の二つは健康の維持や増進に役立つといった食品の機能を表示することができます。国の審査を受けて表示できるのがトクホで、国に申請して許可を得た上で事業者の責任で表示できるのが機能性表示食品です。

具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。トクホは消費者庁許可のマークが表示されていて、最終的な製品で人による試験がありますが申請内容などの情報公開義務はありません。一方、機能性表示食品は消費者庁の許可マークはありませんが機能性表示食品との表記があります。

どちらも有効性や機能性、安全性の評価をしますが機能性表示食品では人による試験ではなく論文などを引用することで科学的根拠とすることも可能です。

しかし、機能性表示食品は申請内容などについて情報を公開することが義務付けられています。

機能性表示食品の安全性や機能性の確保

各事業者は安全性や機能性をどのように評価しているのでしょうか。安全性については医薬品との相互作用などについても評価した上で、今まで広く食べられていたか、安全性に関する既存情報が存在するか、動物・人を用いた安全性試験のいずれかで評価します。

機能性評価の方法は最終製品による臨床試験、もしくは最終製品又は機能性関与成分に関する文献調査のいずれかですが多くの場合文献調査です。臨床試験では時間がかかってしまうからでしょう。機能性評価によって、どのような科学的根拠に基づいて、どのような人が、どのように摂取すると、どのような機能性があるかを具体的に記述します。

生産や製造と品質管理について明らかにするために求められているのは衛生管理体制、規格外製品の出荷防止体制、機能性関与成分の分析方法などを表示することです。健康被害の情報収集体制については消費者、医療従事者などからの連絡を受けるための体制が整えられていなければなりません。

そのためにパッケージに電話番号などの事業者の連絡先を必ず表示することになっています。

機能性表示食品の検証事業

機能性表示食品の販売開始以降の消費者庁の監視手段が検証事業です。検証事業には、商品の買い上げ調査、機能性関与成分の分析方法の検証、消費者意向等に関する調査、食品表示に関する消費者意向調査、研究レビューの検証、臨床試験及び安全性の評価内容の実態把握の検証・調査、届出後における分析実施状況及び健康被害情報の収集等に関する調査などがあります。

これらによって得られるのは第三者機関の適正な分析による問題点の把握、Web調査による消費者意見の把握、届出資料の質を高める方策の抽出などです。また、届出後の事業者の取り組み、特に、健康被害情報の収集については具体的な事例を把握して指導・是正に繋げる努力を継続しています。

機能性表示食品に検証事業が必要な訳

機能性表示食品に表示されている機能性はトクホとは異なり国が審査して消費者庁長官が評価したものではありません。表示されている科学的根拠が販売されてから無効であることが分かったり、機能についての合理性に欠けることが分かったりすれば制度そのものの信頼を失ってしまいます。

そうしたことが起こることのないように根拠の基準を示したものが機能性表示食品の届出等に関するガイドラインです。ガイドラインでは、科学的根拠として明らかに適切とは考えられない具体例等を例示しています。しかし、それでも全てをカバーすることはできません。

さらに、新たな発見などによって届出根拠が科学的な合理性を欠くことが後になって判明する可能性もあります。そうしたことに対応するためにも検証事業は必要です。

機能性表示食品制度の透明性

これまで述べてきたとおり、機能性表示食品は検証事業によって継続的にフォローされています。しかも、そのフォローは必要です。しかし、機能性表示食品は高い透明性を保持することによって信頼を得ています。安全性と機能性に関する科学的根拠の情報公開によって消費者は何時でも商品の詳細情報を確認することが可能です。

豊富な情報量によって科学的合理性の根拠は常に消費者に監視され、検証事業による情報も消費者に共有されます。検証事業と消費者による評価の相乗効果を期待できるのです。

機能性表示食品制度は情報公開と検証事業によって信頼性を向上

機能性表示食品制度では消費者が豊富な情報量によって自らの判断によって商品を選択できます。企業側は真剣に安全性の確保や機能性に関わる品質の維持・管理に取り組まなければなりません。一方で安全性や機能性に関する情報は単に公開されるだけではなく、常に第三者目線でも評価される必要もあります。

このために機能性能表示食品制度で一翼を担っているのが検証事業です。

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